お菓子勉強家 松林千宏 おかしなブログ

毎日お菓子を食べて、毎日お菓子を勉強しています

おかしなコラム リニューアルとは何か?~わさビーフに考える

すでにご存知の方も多いかもしれませんが、

このたび 山芳製菓さんのロングセラー商品「わさビーフ」が9月1日から

リニューアルとなるそうですね。

 https://www.8044.jp/newsrelease/detail/287/

 

 

 

このリニューアルに関しての感情的な あーだこーだはちょっと置いておいて、

そもそも「お菓子のリニューアル」とは何なのか?

考察してみたいと思います。

 

その1. 

どんなロングセラー商品でも、リニューアルは必要である。

 

長年、どんなに愛されているお菓子でも

実は時代に合わせてひっそりとリニューアルしているものが多くあります。

 

例えば、湖池屋さんのポテトチップス のり塩

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湖池屋 ポテトチップス のり塩 歴代パッケージ変遷 ※湖池屋ミュージアムより

半世紀以上も愛されるロングセラー商品でさえ、これだけのリニューアルを繰り返しているのですから、リニューアルの必要性がよくわかるのではないかと思います。

 

基本の黄色いイメージカラーは踏襲しつつも、ロゴも変わっていますし、

味についても消費者調査を地道に行い、時代ごとに好まれる味に微妙に変えています。

 

 

その2.

リニューアルの目的は「売れ続ける」ためである。

 

もちろん、リニューアルの目的は複数あるかと思いますが、

強いてひとつだけ挙げるとするならば、「売れ続ける」ためだと考えます。

 

菓子の新商品は、年間およそ3,000個以上。

毎週のように新商品が発売され、2週間足らずで消えていく商品も少なくありません。

 

お菓子の棚はキラキラ見えるようで、裏から見れば主戦場です。

 

そんな中で生き残る、つまり売れ続けるためには、今の時代に合うように、

微修正のようなものが必要になってくるのですよね。

 

もちろん、今まで支持されている商品ですから、

大きな改良が求められているのではなく、

「いつも変わらずにおいしいね」と言っていただくための微修正=リニューアルが

必要なのだと思います。

 

その3.

リニューアルしたら売れるというわけではない。

 

では、リニューアルしたら売れるようになるのか?

 

結論から言うと、一時的な売上の上昇はあるものの、

ロングセラー商品の場合は、正直大きく売上は変わらないと思います。

 

もちろん今までなかなか日の目を見なかった商品がリニューアル後に

大きく売り上げを伸ばしたという事例はあります。

(例  グリコ  カプリココット → カプリコのあたま) ※この話はまたの機会に…

 

しかし、ロングセラー商品の場合は 既に認知度も売上も高く、

お客さまも味が気に入っているから買い続けるのであって、パッケージデザインには

左右されにくいのです。

 

実際、おやつカンパニーさんのベビースターラーメンがキャラクター含め

リニューアルを行なったのは記憶に新しいかと思いますが、あのリニューアル

前後の売上は、想像以上に変わらなかったのだそうです。

 

(もう少しぐらい売れてもよかったんじゃない?…と思うくらい。笑)

 

元々お客さまが付いている、とでも言うのでしょうか。

 

実際菓子を購入している方々と、SNSで言及する方々とは、

実は重なり合いが少ないように思いますし、

ロングセラー商品のリニューアルは大きく売り上げを伸ばすということ

よりも、継続して売れ続けるための施策と考えるべきだと思います。

 

 

ただひとつ、気になったのは、今回のリニューアルの反響の多くが

「キャラクター」について言及されているということです。

 

今回のリニューアルは、わさビーフ自体の味の改良やパッケージロゴの刷新も

あるにも関わらず、言及されている多くは「あのキャラクター(わさっち)が

いなくなるの!?」ということでした。

 

それは今まで山芳製菓さんがSNS、特にツイッターを通じてお客さまと

コミュニケーションを取ってきたからであり、そのコミュニケーションの中心に

キャラクターがあったから、だと思います。

 

大手がやらない戦略を取ってきたからこそ、わさビーフはファンに愛される

ポテトチップスとして30年以上親しまれてきました。

 

こんなにもキャラクターに関して反響があるとはおそらく山芳製菓さんも

想像していなかったのではと思います。

 

キャラクターコミュニケーションがお客さまに浸透していたことを

今になって感じているのではないでしょうか。

 

 

リニューアルの目的は「売れ続けるため」だと思いますので、目先のことに

一喜一憂すべきではなく、1年後、5年後、10年後、はたまたその先に目を向けるべきだと思います。

 

結果と向き合い、またヤマヨシさんらしくチャレンジを繰り返して頂きたいと思います。

 

余談。私の会社の内線電話には、電話と同じくらいのサイズのわさっちが

ぶらさがっています。

周囲からも「そんなの付いててじゃまじゃないの?」とよく言われますが、

そこも含めて愛おしいんですよね。

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これはお家にいるわさっち

何を残して、何を変えるべきなのか。

 

ささ、わさビーフ買ってこようっと。

 

 

 

山芳製菓 ポテトチップス わさビーフ 55g ×12袋

山芳製菓 ポテトチップス わさビーフ 55g ×12袋

  • 発売日: 2019/07/01
  • メディア: 食品&飲料